ただの命名・ココイチカットの話。

友人の女性から、「縮毛矯正をかけ、髪の毛がまっすぐになりましたのよ」と報告を受けた。


俺はこの知らせを受け、「俺もまっすぐにしたい!縮毛矯正するぞ!」と決意した。

このとき、なぜここまでの決意をしたのかは、今となってはわかりかねるが、きっと彼女に対するライバル心がそうさせたのだろう。

考えてみれば、彼女との付き合いは10年近くになる。

 

中身がまるでそっくりのために、出会った当初から不思議と気が合い、今でもとても仲良くしているのだが、いつしかその友情は「こいつよりは先に恋人を作ってやる」「こいつよりは先に結婚してやる」と謎のライバル心、対抗心へと変わってしまっていた。

おそらく、両者とも「あいつより優位なポジションにいたい」とでも思っているのだろう。

人というものは、人を見下すのが好きな生き物である。

俺も彼女も、特に人を見下すのが大好きだ。

 

そんなライバルである彼女が「縮毛矯正をした」と聞いては、俺もやらないわけにはいかない。

あいつだけにはどうしても負けられないのである。

 


だが、ここで問題が起きた。

それは、俺が普段通っているのは1000円カットのため、縮毛矯正だとか、凝った髪型の施術は取り扱ってないのだ。

縮毛矯正をするにはやはり美容室に行くしかないだろう。

 


そこで家の近所の美容室を探し、飛び込みでお願いすることにした。

突然の素性のわからぬ大男の登場に、お店のスタッフの男性は最初こそ困惑をしていたものの、結果的に「どうぞどうぞ」と快く招き入れてくれた。


席に座ると「どんな感じにしましょうか?」と担当の美容師に聞かれたので、「縮毛矯正をして欲しい」という趣旨のことを伝えると、

「男の人で縮毛矯する人ってあんまりいないんですよね」

「クセを活かしてセットする手もありますよ」

「髪の毛の色を変えるとクセがカッコよくなったりしますよ」

と、なんだかあまり縮毛矯正には賛同していないようであった。

きっと手順が多く、時間がかかってメンドクサイのであろう。

それか俺をさっさと帰したいのだろう。


その後、どうにか説得することに成功はしたのだが、次に「カットはどうするのか」という話になった。

俺は特に「こうして欲しいだ」とか「ここを何センチ切って」だとかいう希望がなかったため、すべてお任せすることにした。

すると「じゃあ、ここをかりあげて、トップをすいて、立ちやすくして、横は耳にかからないように・・・」と、美容師さんは、まるでココイチでカレーのトッピングを注文するように、軽い感じで決め始めた。

俺は出来上がった髪型にココイチカット”命名をすることにした。

 

  


・・・それから2時間後。

鏡の前には、生まれ変わった自分の姿があった。

ストレートヘアーにはなっていたものの、前髪はふぇろふぇろした感じにセットされ、
サイドは中途半端な長さになっており、襟足に至っては、まっすぐ切りそろえられるという斬新な髪型になっていた。

 

「なんか・・・・すごいクセのあるバンドでギターを弾いてそうなやつみたいな髪型だ!」

俺はそう思った。

「うん・・・でもこれは素敵だ!」

そうも思った。

だってそうでも思わないと、泣いてしまいそうだから。

しかし、結果的に友人に負けないほどのストレートヘアーを手に入れたのは事実。

それだけでも十分であろう。

それ以上のことを望むのは贅沢というやつである。


料金はカット込みで10000円であった。

普段利用している1000円カットの10倍の料金だ。

しかし、俺のかっこよさも見た目の面白さも10倍アップしているはずなので、明日からこの新しくなった髪型で女性たちをヒィヒィ言わせたいと思う(笑いが止まらない意味で)。


女性達よ、待っていて欲しい。