ただの耳からワインが出た話。

一週間ほど前の話になるのだが、朝起きたら枕に血のようなものが付着していた。

 

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30代になると、衰えから枕に抜け毛が多く付くようになったりだとか、強烈な加齢臭が付くなどとは聞いたことはあったのだが、血液が付着することもあるのだろうか、人体の不思議である。

「寝ているときに顔でも引っ掻いたのかしら」と思い、鏡で顔や、耳の裏、首の後ろまで確認したのだが、キズひとつ見つからなかった。

鼻血かとも思ったのだが、やはり鼻血が出ただろうという形跡も見当たらない。

ましてや、寝ている最中に口から出血するなんてことはないだろう。

 


そうなってくると、いよいよ可能性として出てくるのは「耳の中」くらいか。

ただ、「耳からの出血はやばい」と聞いたことがあるので、とりあえずその場は、恐怖心から「これは血じゃないから大丈夫」と自分に言い聞かせ、見て見ぬふりをすることに決めた。

実のところ、俺はギャグマンガの主人公並みに回復力があるので、ちょっとやそっとのキズくらいなら自然治癒できるのである。

今までも多少の負傷や病はそれで乗り切ってこれた、今回も大丈夫。

 「こういうのは病院とか行くと逆によくないから、うん」

このときはそう思っていた。


しかし、それから何日かすると、次第に右耳に水が入ったような、音がこもるような違和感を感じ始め、段々と頭痛の症状まで出始めた。

このときばかりは、さすがに”例の枕”のことも頭によぎったりもしたのだが、まだ「風邪だな」と思っていた。

 

だが、ついに昨日、耳の違和感に我慢できず、何とはなしに小指を入れたところ、ワインレッドに染まった液体が指先にベタリとついていたために、そこでようやく危機感を覚えた。

「あれ、耳からワインが出てきたぞ」と。

俺が毎晩ワインパーティを開き、毎日浴びるようにワインを飲んでいるのならば、耳から出てきてもなんら不思議に思わないが、生憎、そんなパーティを開催した覚えがないため、耳から飛び出てくるようなことは不自然である。

 

「これはやばい・・・・」


そんな訳でいよいよここで覚悟を決め、今日病院に行ってきた。


病院に付き、受付で「耳から芳醇なワインが出た」ということを説明したのだが、そこから2時間ほど待たされた。

きっと重病ならば、誰よりも真っ先に俺が優先されるはずだろう。

こんなに待たされるということは大したことないんだ、と少し安堵した。

なんならば、安堵しすぎて「本当にワインなのではないか」などと楽観的に考えていたくらいだ。


それからしばらくして、俺の順番になり診察室に通されると、40代くらいの綺麗めな女医さんが待っていた。
「これはいけるな!」と俺は即座に思った。

ちなみに”何がいけるのか”を聞くのは愚問である。


診察が始まると女医さんは、小さいライトを手に持ち俺の耳の中をじっくりと見始めた。

考えてみれば、女性に耳の中をまじまじと見られるのは初めての経験だ。

「は、恥ずかしい」と思いながらも、どこかで少々の興奮を覚えたのは俺がそういう人だからなのだろう。

ちなみに”どういう人なのか”を聞くのは、これもまた愚問である。


2時間も待たされたのに診察はわずか3分ほどで終了し、検査の結果、「中耳炎」だという診断を受けた。

「中耳炎」がどんなものかわからないが、字を見る限り「耳の中で炎が燃えている」ということだろう、恐ろしい病である。

さらに検査の結果を詳しく言うと「中耳炎だけど、もう治りかけている」という診断であった。

結局、特に薬を渡されるわけでもなく、「いじったりしないで」とだけ助言を受けた。

昨晩まで出血していたにも関わらず、もう治っている・・・自らの治癒力に改めて驚愕した。

 

 
正直なところ、最悪な場合、手術や入院があるのではないかと思っていたところもあったので、一安心だ。


そんな安心感に包まれながら、帰宅し、ご飯をもりもりと食べ、先ほど風呂から出たところ、薄っすらと血が出てきたのだが・・・ほほほ本当に、だだだだだだ大丈夫ででですよねね。