ただのつば九郎と心が通じる男の話

この前、プロ野球交流戦西武ライオンズvsヤクルトスワローズ」の試合を見てきた。

 

プロ野球を見るには、それなりのお金を払いチケット買わなければいけないのだが、俺のような年収250万円もの大金を稼ぎ出すような大富豪男ともなると、無料のチケットを渡されて招待されるのである。

 

平日ではあったものの、好調西武ライオンズ交流戦首位のヤクルトスワローズの一戦ともあって、試合会場である”ライフメットドーム”はなかなかの混雑ぶりであった。

 

球場の近くで軽く食事を済ませ、入場をすると、ヤクルトスワローズの人気マスコットであるつば九郎”氏と、西武ライオンズのマスコット”レオ”氏がファンイベントをやっていた。

 

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つば九朗氏と言えば、「スケッチブックを使って毒の効いたコメントを吐く」という芸風が人気となり、野球ファンのみならずとも知名度抜群のキャラクターである。

一方のレオ氏はその名からわかる通り、”獅子”がモチーフになっていて、球界一のスマートさ、カッコよさでこれまた人気のあるキャラクターだ。

 

俺は、つば九郎氏がレオ氏にどのように毒を吐き、噛みついていくのかに期待していたのだが、やはり燕と獅子、力の差は歴然であった。

つば九郎氏はその力の差を感じ取ったのか、大人の事情を知らされていたのか、レオ氏と最初からすごく仲良さそうにしていた。

想像していたつば九郎氏は、スケッチブックでレオ氏の頭を全力で引っ叩くくらいのことは軽くやってくれる奴だと思っていたのだが、実際は、とんだビビり燕であった。

 

そんな無様な燕にガッカリした俺は、奴に近づき公開説教をしてやることを決意した。

だが、イベント会場は人だかりができていて、とても近づける状況ではなかった。

 

「くそ、せめて、せめて少しでも近づければ」

 

そう思った俺は正面を諦め、わりと人が少なかったサイドに回ることにした。

しかし、サイドに人が少ないのはそのはずである。

やはり司会のお姉さんや2体のキャラクターとも正面をメインとしてやっているため、こちらのサイド側を一切見たりしないのだ。

 

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5分経とうが10分経とうが、まったくこちらは無視である。 

 

こうなれば仕方ない、俺は念じることにした。

 

(つば九郎!てめぇ、ヒヨッてんじゃねーよ!!とにかくこっち向け!)

 

そう念じた言葉は、思いとなりて、風に乗って、なんとつば九郎氏の心へと届いたのだ。

 

ヒョコ

 

驚くなかれ、つば九郎氏が突然、横を向き俺の方に手を挙げたのである。

 

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つば九郎氏の謎の行動に会場は騒然。

皆が不思議がるのは当然だ、これは俺に、いや、俺だけに向けたメッセージなのだから。

 

(焦んなよ、これはレオを安心させて油断させる作戦だ)

 

つば九郎氏がそう俺の心の中に言ってきた。

 

彼を見ると、今までと目つきがまるで違っていたように思えた。

そう、その目はもはや燕というより鷹。

獅子を狩る鷹の目である。

 

「あいつ・・・本気だ・・・」

そう感じとった俺は、すぐさま「ば、バッカ、お、おまえやれんのかよ?相手はあの・・あの強大な西武グループを親会社に持つ、西武ライオンズのマスコットキャラだぜ!?」と、返事をした。

 

すると、つば九郎改め、鷹九朗は無言で

 

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左拳を天に突き上げると共に無言でバックステージへと消えて行った。

 

どうやら彼の覚悟は本気のようである。

きっと人目のつかないバックステージでレオ氏をボッコボコにする気に違いない。

本当は表でボッコボコにすることもできただろうが、これはレオ氏に恥をかかせない彼の不器用すぎる心意気だろう。

 

「やれやれ・・・・やっぱあいつとんでもねえ野郎だぜ・・・」

 

きっとこのときの俺は、つば九郎氏を尊敬の眼差しで見つめていたことだろう。

 

 

そして、その日以来、つば九郎氏の姿を見たものはいないという・・・・。