ただの大企業のトイレに潜む罠を教えようの話。

今日は用事があり、とある大企業に行ってきた。

 

俺は大企業というものが苦手だ。
勤めている人達が皆、頭の良さそうなエリートに見えるため劣等感に苛まられるからである。

「なんつーか、俺にはここの風は合わないわ」

そう格好をつけるのが精一杯であった。


時計を見ると、まだ約束の時間まで余裕があったため、トイレに行くことにした。

さすが大企業というべきか、トイレがすごく綺麗であった。
隅の隅まで掃除が行き渡っており、ここでリフレッシュができそうなくらいの柑橘系の良いニオイがした。
そしてトイレの表記も英語で”toilet”、オシャレである。

俺は「ここだったら住めるな」と即座にそう思った。

 

「奥の便器を寝室にして、手前の便器をプライベートルーム、そして手洗い場をキッチンに・・」
などと夢のトイレ生活を想像しながら、小便を済ませ、手洗い場のほうに目をやると、

 

 

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 ルイヴィトンの財布が置いてあった。


俺以外にトイレに誰もいなかったので誰かの忘れ物であろうか。
それとも大企業ともなると、手拭きのペーパータオル代わりにルイヴィトンの財布で手でも拭くのだろうか。

 

そんなことを考えていると、

「取っちゃいなさい、ばれやしませんよ」

どこからともなく、そんなブラックtakaのささやき声が聞こえてきた。
確かに置きたてホヤホヤ、中身はバッチリ入ってそうだ。


だが、俺は想像力が誰よりも働く男である。

もしも、この財布をこっそりと鞄に入れて、気分よくトイレのドアを開けた瞬間に

「おい!てめぇ、ここに財布なかったか!?」

と、怖い感じのアレな人に尋ねられようものなら、ノミの心臓より小さいと噂される俺の心臓は間違いなく停止してしまうであろう。
腕っぷしには自信があるが、俺が勝てるのはせいぜいハムスターが限界である。

 

そう思うと、とてもブラックtakaのささやきに賛成することはできなかった。


ならば、財布の中身だけ確認するのはどうだろうか?
免許証などを見れば、持ち主がどういう人物か判断できることだろう。

もしかしたら財布の持ち主がすごい美人の女性かもしれない。
白石麻衣さんに似た美人であったらどうしよう。
この財布を届けたことをきっかけに、まさに”ロマンスのスタート”ということもあり得るだろう。


いや、まて、落ち着けtakaよ、ここは男子トイレである。
こんなところに財布を置き忘れる女子は間違いなくいないだろうし、いてもそれはそれで問題だ。

 

・・・これは男性の財布でまず間違いない。

どちらにしろ、この財布に触れない方が良さ・・・いやいや、takaよ、まて。

もしや、これはこの会社が俺を試すためにワザと置いた罠なのではないか?
俺がこのような状況下において、どのような判断を下すかのテストをしているのでは?
大企業ではこのようなテストを実施したりするという噂も聞いたことがある。
これは一種の・・・・モニタリング・・・・・。

「へっへっへ、ち、ちくしょう、やっぱり大企業はやることが違うぜ」

 

どこだ、どこから俺を見ているんだ、あの換気口か?まさか鏡がマジックミラーに?
額から零れ落ちる汗を拭いながら周囲をキョロキョロしていると、
いつの間にかトイレに入ってきた中年の男性が

「あ、財布落ちてるわ」

と、簡単に拾い上げて、そのまま持って行ってしまった。


「わ、罠じゃなかったのか・・・・」

そう安堵した。


そしてその後、財布の行方がどうなったのか、果たして持ち主のところに無事に届けられたのか。

その答えを俺が知ることはなかったという・・・。