ただのスクラッチカードの話

地元の雑貨屋で1000円以上買い物をしたところ
「この場で当たりますので」と
クラッチカードを1枚渡された。

何やら、ディズニーペアチケットを筆頭に、
コーヒーメーカーやダイソンの掃除機などなかなかの
豪華商品が当たるようであった。


さっそく俺はまだ見ぬ彼女と
夢の国に行くため、ディズニーペアチケットを目指して
10円玉を手に、スクラッチを削ることにした。

クラッチ素人は勘違いしているかもしれないが、
クラッチというものは、ただ削ればいいというものではない。
思いを込めて削らなければ、当たるものも当たらないのである。


「見せてやるぜ・・・・30代に突入したばかりの男の意地を!!!」

そう心の中で叫んだ。

俺の心の叫びは、神へと通じ、
通じた叫びは、ゴッドハンドと言う名の力になりて、
クラッチを削る俺の手に宿った。


運は掴むものじゃない―


引き寄せるものだ―


「みよ、これが俺の力だ!!!」

 

 

そして、俺は見事、商品を手に入れることができた。


しかし、それはディズニーペアチケットでなければ、
コーヒーメーカーでもダイソンの掃除機でもなく、
残念賞枠のシャボンなんちゃらという石鹸の匂いがするミニ香水であった。


きっと「これでも付けて身だしなみ整えてこいよ、くせぇな」と
いう神様からのメッセージに違いない。