ただのパート女子の話

会社にパートの女の子がいるのだが、
彼女はうちの会社以外にも、飲食店でも働いているそうだ。

そんな彼女と休憩中にお話をしていたら
「最近、変なおじさんがお店に毎日のように来る」と言い出した。

 

話を詳しく聞くと、
その変なおじさんは、毎回決まった時間にお店にきて、
「もにょもにょもにょ・・・」と
何か不気味な呪文をつぶやきながら、
女性店員の近くに寄っていくらしい。

だが、女性店員の近くに行ったからといって特に悪さをするわけでもなく、
ただ「もにょもにょ」とひたすら呪文をつぶやき続けているだけ。
そうして、何もできず店員の子がポカンとしていると、
最後に決まって

「これ、あげるねぇ」

と言って、おそらく電車の網棚から拾って持ってきたであろう
ジャンプだったり、サンデーだったり、スポーツ新聞だったり、
その時々によって違う紙媒体を渡して、満足そうに帰っていくのだとか。

女性からしたら世界一いらないプレゼントだろう。
しかし、男性からしてもギリギリいらないプレゼントだろう。
すさまじいプレゼントチョイスである。

最初こそ「おじさんの危険なおけけ的なものが大量に挟まっているのでは!」
と思ったらしいが、今では「次は何を持ってくるんだろう?」と
みんなで楽しみにしていると言っていた。

そんなおじさんを女性店員達は敬意を込め、
”神様”ならぬ”紙様”と呼んでいるそうだ。


しかしながら、変なおじさんには変わりない。

俺は心配するあまり、

「ええ、でもそれすごいコワくない?」
「大丈夫かい?とても心配だなあ」

などと、とても優しく語りかけたのだが、
彼女はそんな俺の心配も露知らず、

「どうせなら毎月最新号のananを持ってきて欲しいわねえ」

と、ため息混じりに言っていた。

もし何かされても、
返り討ちにしてしまいそうな頼もしさを感じたのであった。