ただの神様に会った話

道を歩いていたら、お上品なお婆さんに
「○○公民館には、どう行けばいいのでしょう」と声をかけられた。


他にも多くの人が道を歩いていたというのに、
俺に声をかけてくるとは、わかっているお婆さんである。

やはり醸し出る優しそうな雰囲気がそこら辺のやつらとは
一味違うということを、長年生きてきた勘でわかったのだろう。
俺くらいの”優シスト(とても優しい人)”になると、
優しさを求め、向こうから寄ってくるのだ。


しかし、残念ながら優シストの俺も
その”○○公民館”というものが、どこにあるのか知らなかった。
「ふーむ、わからないですねえ、すいません」と言うと
「そうですか・・・ありがとうございました」と頭を下げ、
俺とは逆方向にそそくさと去って行ってしまった。

いつもの俺であれば、お婆さんをおんぶして、
その公民館を探すために
必死に駆けずり回るところではあるが、
たまたま今日は耳たぶが痛かったので泣く泣く断念した。
本当に申し訳ない限りだ。


そして、別れて5秒くらいしたときだろうか、
何とはなしにお婆さんが歩いていった方向を振り返ると
なんとそこには、もうすでにお婆さんの姿はなかった。

「あれ?消えた?」

いや、まて、人はそんなにすぐ姿を消せるものだろうか。
ただでさえ、お婆さんなのに。
しかも曲がり角も、お店もないような一本道だ。

 

「やべ、あれは神様だったんだわ・・・」

俺は即座にそう思った。

きっと神様が、
「どれどれ、takaのやつはみんなに優しくしているかしら」と
お婆さんの姿を装い、お忍びで抜き打ち査定に来ていたんだ。
それなのに俺はというと、耳たぶが痛いがあまりに冷たくあしらって、
神様に取り返しのつかないことをしてしまったのだ。

今回は年末査定ということもあり、
このミスは必ず来年の運勢に響くはずだ。

天に戻った神様は、
顔を怒りで赤らめつつ、こう決断するだろう。

「はい、takaダメー、来年もモテないし、童貞決定ー」


どうやら、俺は来年もダメそうである。