チャック開いてますよの話

電車で座っていたら、
目の前に立っている若い女性のズボンのチャックが全開であった。

男性のチャックが開いてるのならばたまに見るのだが、
女性のチャックが開いているのは、27年間生きてきて初めてみた。

最初はチャックが開いてるなあ、というくらいの感じだったのだが、
気にすれば、気にするほどチャックが開いていることが気になり、
終いには「takaくん!takaくん!」とチャックの中から
パンツくんの声が聞こえてくるという幻聴までおこり、
危うく女性のチャックに向かい、
「こんにちはー」と叫びそうになったくらいである。
俺が思うにこの一線を越えた男が「痴漢」と呼ばれる聖者となるのだろう。


このまま見続けるのもよろしくないと、
視線をふっとずらすと、
その隣に立っていた女性のGパンのチャックも全開であった。
まるで一生分の奇跡を使い果たしたような気分だった。

「あれ、もしやこれはドッキリでは?」

都内の誰もが知っている有名な路線だったので、
人間観察モニタリング的なテレビの企画なのではないかと思い、
俺はキョロキョロと辺りを見渡してカメラを探した。
チャック全開の仕掛人女性の股間をただひたすら凝視している姿を
お茶の間に晒されたら俺は首をくくるしかない。


しかし、いくら探してもカメラはなかった。

「なんだ、ドッキリではないのか」

一安心すると、俺は再びチャックに目線を戻した。
あ、勘違いしないでほしいがずっと見てたわけじゃないですよ。